季刊 はたけ新聞

発行 みやもとファーム 宮本 茂昭 編集 はたけ新聞編集委員会

平成16年 7月発行  みやもとファーム・耕す・育てる・楽しむ・食べる はたけ新聞 2004年夏号

 このごろ体験農園と農家レストランを視察する為に、それも遠い地方の人達が訪問されることが多くなりました。東京で真っ先に起きた都市農業の地殻変動が、地方にも及びだしたと思っております。農業の持つ多面的機能を生かせば、何とか都市農業もやっていけるのではないか、と始まったこの農園も5年を経過し、いろいろな方々が見学に訪れました。その中でも園芸福祉に取り組んでいるNPO法人のグループの方々が、最近お見えになりました。農業を福祉に生かそうと考えている人達でした。すばらしい人達がいるものだと感心した次第です。
 みやもとファームの農業体験塾はどちらかといえば癒し系ですが、5年も経ったのだから癒し系からこの地域の農業のために、もう一つ階段を登らなくてはいけないなと思うようになりました。農業と農家レストランのことなら分かるのですが、教育とか福祉等となるとトンと分かりません。皆さんが汗を流している畑のベンチに座って、自分は来年の今頃何に挑戦しているのかなと思う夏の日のこのごろです。
 夏の暑い日がこれから続きます。くれぐれも日射病にかからないよう注意して畑生活を楽しんでください。
5年目の夏に思うこと  宮本 茂昭
カット描画 宮本知枝さん
肥料をやりすぎるとどうなるの?
― 少しだけお答えします ―
みやもとファーム助手 高浜真理子
 この農場で肥料過多が目に見えて分かるのは枝豆です。前の作物の肥料が残っていたか、あるいは肥料をやりすぎた場所は、そこだけ葉の色が濃く、大きく繁っていました。マメ科の植物は根粒細菌のはたらきがあって自分で窒素を作りますから、窒素肥料が多いと葉が繁りすぎて花や実のつきが悪くなります。
 トマトのしりぐされが多かった人は窒素過多かもしれません。
 作物を大きくしたいと思ったとき、とりあえず窒素肥料を与えます。即効なら化学肥料の硫安、尿素、塩安、石灰窒素などです。もちろん濃すぎは枯れますが、葉面からも効き目があります。有機肥料にはほとんど窒素が含まれていますが、特にきゅう(厩)堆肥(牛糞、馬糞、豚糞など)、緑肥(れんげなど)、油かすに多く含まれています。一時的に見えてツヤがよくなり幼葉で食べるような作物は見た目にはとても立派なものができます。しかし、葉肥である窒素が多いことで、実肥のリン、根肥のカリの吸収が妨げられ、軟弱で倒れやすかったり病気になりやすかったり、害虫が多くなります。
 窒素過多は実を取る作物や、根を利用する作物には良い結果が得られません。また味も植物本来の苦味ではない味や、茹でたときに黄緑色のゆで汁が出るときには、窒素過多が考えられます。
 しかも窒素過多は作物に対するマイナスだけでなく、土地への残留素性、地下水への影響などもあります。自然に触れたくて農業を始めた人が、環境汚染の一役を担ってしまったら、とても残念なことです。
 近年、肥料が人体に影響を及ぼすということが大きく問題になり、肥料は多く、効くほど良いという神話をくつがえしています。
 ひとつは,北海道であった大量の牛が死んだ事件です。牧草に撒いた化学肥料が牧草を窒素過多にし、牧草を食べた牛の体内で硝酸窒素が亜硝酸(発ガン物質のひとつ)に変化した為、極度の酸素欠乏を起こして窒息死したというものです。
 もうひとつは、アメリカのブルーベビーです。硝酸態窒素を多く含む野菜を食べた母親や、硝酸態窒素を多く食べた牛の牛乳を飲んだ母親の母乳を飲んだ赤ちゃんが、ヘモグロビン欠症を引き起こして、酸素欠乏の青い顔になるというものです。
 有機農法というと響きは良いのですが、厩堆肥の窒素も問題になっています。
 オランダでは秋から春にかけて窒素肥料を撒いてはいけないという法律があるほどで、日本でも無農薬だけではなく無肥料の農法をしている農家もあります。
 他にも土の持つ力を引き出すための研究がいろいろなされています。ファームで耕す10坪の農地を通じて日本の農業、世界の農業を考えてみてください。先ずは自分の口に入るものへの疑問から始めてみませんか。


「ファーム」一年生の3ヶ月
                                              #23 大倉 忠之

 閑話を少々。

〈植え床作り〉
塾長のお手本を見る限りでは簡単そうです。25分で全部終了。私も訳がわからぬまま鍬を持ち、サッサッと土を床側に掘りあげてゆく。乱視の眼で闇雲に床を撫で回しながら、何とか格好ついたかなと汗を拭き拭き自画自賛。そこへ通りかかった篠原さんが床の床直し。そして二人で広げたマルチを手で抑えながら「おたく!これを抑える土が全然ないよ!土を全部内側に上げてしまったね。これは致命的なミスだよ。最初からやり直すしかないかなァー」トホホ・・・

〈農薬散布〉
やっと農薬をかけ終わって、噴霧器を肩から下ろす。背後から若い女性の声「すみません。それ空いてます?殺菌ですか?」「??」背中を向けたまま黙ってその場を離れる。そうか!殺菌と殺虫があるんだ。

〈トマトの芽かき〉
脇芽の見分けに三年かかるとか。そんなことはあるまいと真直ぐな見目麗しい奴を残し、いかにも性格がねじれたようなひん曲がった枝をバシッと切り落とす。痛快!ふと顔を上げると鬼の首を取ったような塾長のエビス顔が・・「ガハハ!やりましたねトマトなってたのを!やるんじゃないかと思ってたんだ」アレレッ塾長。そこで黙って一部始終見てたんですか!!

〈青空懇親会〉
大木の緑陰の下、気品あふれるアンサンブルファームの生演奏を聴きながら、絶「一品」に舌鼓をうち、冷えたビールで喉を潤す。これぞ至福のひととき。本当にこのような絶好の交歓の場をお世話して下さった方々には感謝の気持ちで一杯です。

とにかく、私にとっては還暦を過ぎての一年生農業。塾長はじめ皆様のご指導を糧に、これからの5年間精一杯頑張っていくつもりでおります。どうか今後とも宜しくお願い申し上げます。そして野菜好きな妻に新鮮な取りたて野菜の「香り」を届けることができれば、私にとっては、この上ない望外の幸せということができるでしょう。
        キュウリの雄花                                         キュウリの雌花
 のどかなゆったりとした空気を感じ、青空のもとこの大きな樫の木の下でお弁当を食べたらおいしいだろうなあ。これがみやもとファームに初めておじゃました時の印象でした。
 私が野菜作りをするようになったのは、畑仕事をしている方との出会いがあったからです。ヘルパーの仕事をしていますが、その利用者の方が平和台で農園を借りていて「たくさん採れたので持っていって。」と手渡されるのですが、基本的にヘルパーはいただき物をしてはいけないことになっているので、2回3回と断っていました。しかし、決まりだからと断っていたのでは、本人が手間ひまかけて育てた野菜(無農薬)を粗末にすることになると思い、好意を受けることにしました。ただいただいたのでは申し訳ないので、畑に顔を出して行動を見守ることにして水やり等を手伝い、そのうち少し場所を借りてミニトマト、シソ、キュウリ、シシトウなどを育て、それなりに収穫ができました。しかし残念なことにその方が亡くなってしまい、私の畑の先生がいなくなってしまったのです。
 そんな時、一から教えていただけるみやもとファームのことを知り、運良く生徒一年生としてお世話になっております。
 先日は立派なキュウリと大根を収穫し、家族のみんなも新鮮でおいしいと喜んでおります。こんなにおいしいものが自分の手で育てられることが不思議なくらいです。力仕事もありますが、汗を流し虫と戦いつつも、この野菜がどんな味なのかワクワクしながら畑に来ています。仕事も忙しくなり足を運ぶ回数も少ないのですが、土と親しみ天気を気にするようになり、野菜の成長が楽しみで、同士の方々の親切にも接して、幸せを感じております。
 青空懇親会もたくさんのお料理が並び、はじめての方とも会話が弾んで温かさを感じました。これからもいろいろ学んでいきたいと思いますので、宜しくお願いいたします。
私とみやもとファーム
                                              #44 門川 幸子(広瀬さんと共同耕作)

             ナス                                         ジャガイモ

発行責任者: 宮本 茂昭
編集委員:北川 公 ・ 西川 一枝 ・ 野本 秀夫 ・ 橋本 やよい ・ 森脇 由利子 (アイウエオ順)
印刷:和田 政雄