晴天続きのときの水撒きについて
 ジョウロで水撒きをする程度では露地栽培はできません。プランターの場合とは違います。土の表面だけ煮立った状態になり逆に害となる可能性があります。そのため基本的に畑には水やりはしません。
 雨が降った後、土に湿り気があるときに種を撒いたり、移動をします。
 干ばつの時でも20〜30cmの深さに肥料をやって、根をそこまで伸ばしてやることが必要です。肥料をやったところへ根は誘導されて伸びます。面倒だからといって肥料を表面に撒くと、根は横に這うことになります。トマトやキュウリなどはいつも干ばつを想定して穴を深く掘り、肥料を下に入れて根を深く伸ばすようにしているのです。
 今年のカラカラ天気ではニンジンの発芽を心配しました。ニンジンに水やりを指導しましたがこれは初めてのことです。その結果、一番心配していたニンジンを8割育てることができました。どうしても夏場に水撒きが必要の時には、気温が下がってくる夕方に撒くべきです。

今年の農業体験と今後の対策   宮本 茂昭
季刊 はたけ新聞

発行 みやもとファーム 宮本 茂昭 編集 はたけ新聞編集委員会

平成16年 12月発行  みやもとファーム・耕す・育てる・楽しむ・食べる はたけ新聞 2004年秋・冬号

宮本塾長へのヒアリング

 2004年における東京の夏は、真夏日の日数が気象台始まって以来の新記録となり、雨が降らないため土はカラカラに乾いてしまった。一転して9月に入ると長雨となり、日照時間が極端に短くなって作物が生育しなくなった。この間には、前線に伴う強風が吹き荒れたり、台風が関東近くを通過して、畑ではカンレイシャがとばされてせっかく芽を出した作物を傷めつける状態が頻繁に発生した。
 このような異常気象が今年の農作物収穫に影響を与えたことを認めながらも、私たちみやもとファーム農業体験塾に席を置くものとしては、この不作を天候のせいにすることで諦めてしまうわけにはゆかない。被害を最小限にする基本的な対処方法を知った上で、より良好な収穫が得られるように最大の努力を払うことが必要です。そこで今年の農作物の出来に関係すると考えられることを取り上げ、宮本塾長に語ってもらった。(はたけ新聞編集委員会)
絵: はたけ番号87 田中 敬二さん
雨天続きのときの被害について
 今年はハクサイ、カブ、コマツナ、ホウレンソウなどの多くの苗がダメになりました。種を蒔いた後長雨が続いたので、種から出た根がとけてしまったのです。種の持つ力で芽は出ますが、根がとけてしまうので本葉は大きくなれません。チョットした種蒔き時期のずれでうまく育ったところもあるようです。


強風被害を避けるための方策について
 都会に住み慣れると自然現象に対して鈍感になっており、事前に注意が行き届かないのではないかと思います。
 今年ほど青首大根の出来が悪い年はありませんでした。これはかけてあったカンレイシャが台風などの強風にあおられ、出たばかりの芽をこすったことが原因です。青首大根については強風に対する準備が不十分であったことに尽きます。カンレイシャをクリップ等でとめ、飛ばされないようにすることが大切です。
連鎖障害の防止と対策について
 同種の作物を前年と同じ場所で作っておれば、成育を妨げる菌が繁殖して収穫に障害がでます。毎年の作付計画では連鎖障害を起こさないように、野菜を育てる位置を変えることに充分注意しています。
 塾生が実施する対策としては天地返しが有効です。ファームで行われている天地返しを見ていると、正しい天地返しをしている人は極めて稀です。天地返しは表面の土を地中深く埋め、下の土を地表に出す作業です。塾生の行っている作業は土を耕して混ぜているだけのように思います。表面の土を深くへ埋めれば、それにつれて菌も深くへ入れられて死に絶えてしまいます。表面には無菌に近い土が出ますので、連鎖障害は起こりにくくなります。


肥料のやり方について
 セルカは貝殻を粉にしたもので、普通の石灰に比べると効きはゆっくりとおだやかです。肥料として効きの良いのは化成肥料です。この化成肥料は土に均等に、しかも良く混ぜることが必要です。手でさっと混ぜる程度では十分でなく、作物に肥料影響が出る恐れがあります。この肥料をまいてから一週間から10日おいてから種蒔きをするのがベストです。


有機栽培と虫対策について
 今年はキャベツと大根の芯食い虫がこの地域で異常発生しました。この夏に残暑が続いたせいです。虫がまだついてない苗のうちに予防する以外には防ぐ方法はありません。ファームでは3回程度殺虫剤散布をしていますが、畑に来て注意深く野菜を観察し手で虫を取り去ることが大切です。時に応じて予防をするよう指導しますのでこれに従ってください。
 カンレイシャは鳥よけ、虫よけ、風よけ、雨よけに役立ちます。うる抜いて食べるまで薬をかけられないので、カンレイシャは役に立ちます。うる抜いたらカンレイシャを外して日照をあてるようにしますが、軟らかい野菜を育てる目的ならカンレイシャをかけたままにしておきます。各自の工夫が必要です。

最後に
 農作物は天気を見て、変化を予測して行います。雨が降れば3〜4日ぐらいは畑に入れません。雨の降る前に3〜4日分の作業をする気構えが必要です。野菜は誰もが作業しやすい休祭日に合わせて育ってはくれません。
 作物を見るだけではなく土の状態も良く見て、草を退治して水や空気が入るように表面を柔らかくしておくことが必要です。(中耕といいます)作物の根に影響を与えないような深さで表土を掻いてください。
 農作業は天候によって様々な影響を受けます。失敗しないとわからないことが実に多いのです。
異常乾燥の影響をうけたサトイモ
出来が不揃いな青首大根
絵: はたけ番号87 田中 敬二さん
5年間、野菜作りを体験して                はたけ番号 84 鈴木 昌
「仕事を辞めたら田舎暮らしをして土いじりをしたい」という夢を持っておりましたので、平成12年春のねりま区報で区の農園とみやもとファームの募集を知り
早速応募しました。その結果は区のほうが落選、みやもとファームは補欠ということになり、半ば諦めておりましたところ運良く繰り上げ当選となり、みやもとファームとのお付き合いが始まりました。
 農業については全くの素人であったので、家内が家で朝晩花に水をやっているのを見て野菜にも水撒きが不可欠と思っておりました。広い畑にどうやって水を撒くのか心配になり、初めての説明会で塾長に質問したのを思い出します。
 農作業を始めた頃は種を蒔いても苗を植えても心配で、ほとんど日参のような感じでファームに通っていました。そんな時、近くの区画をやっていた篠原さんから声が掛かり、ボランティアとしてファームのお手伝いをするようになりました。農業は素人ですから、もっぱら土木工事が主でした。
 このボランティアも最初は篠原さん、横山さん等ごく少数の集まりでしたが、すぐに飲み会になり、更にゴルフ好きが集まって現在の「狸耕会」となったわけです。狸耕会も飲み会、ゴルフにとどまらず、うどん打ち、パン作り、料理教室などの計画もあるようで今後益々楽しみになりました。
 最初の年にファームの北隣にある畑を耕している宮本さん(塾長と親戚の農業のプロ)から、我々が畑として使っている土地は初めて野菜を作るので土が良いと聞いておりました。その上塾長の指導宜しきを得て手がけた野菜は全て豊作となり、とても家族で消化することができないほどの収穫が続きました。その間、野菜の剪定の仕方、床の作り方、マルチの敷き方等技術的な面もかなり上達してきたので野菜作りはさほど難しくないと錯覚していました。ところが今年はおもったほど収穫があがらず苦戦しております。異常気象が続いたことは事実ですが上手くやっている畑もあります。天候に対応しての種蒔きのタイミングや肥料のやり方等である程度対策が立てられたのではないかと経験不足を痛感しております。
 昔から野菜作りはお天気次第と言われておりますが、上手くお天気と付き合えるのはやはり経験あってのことだと思います。それにはもっと色々失敗し、試行錯誤を重ね、経験を積んでゆくほかはないと思います。野菜作りは奥深いと感じる昨今です。
 秋めく畑、作業の合間に篠原さんから手取り足取りの指導を受けて藁ぞうりを作る機会を得た。藁は篠原さんが四国から持ち帰った貴重品である。
 先ず藁を水で湿らし小槌で叩くことから始まった。適度な湿り気と柔らかさがないと後々苦労するらしい。土台になる縄をない、縄を足の両親指に掛け、ぞうりのつま先から土台部分を編み始める。きつく編むほどしっかりしたぞうりが出来上がる。鼻緒を編みこみ最後の仕上げに前つばをつけて完成する。手だけではなく時には足も使って行うのでちょっとした全身運動になる。履けば藁の感触が足の裏を刺激して気持ちが良いが折角の品は我が家の飾り物になっている。
 私が藁ぞうりに出会ったのは半世紀以上も前、信州に疎開したときだった。祖父の作ったぞうりを履き、野良仕事や遊びにと飛び回ったものだ。そのまま川に入っても明日には乾き、また履ける優れものだ。戦後も東京で親父がぼろ布やトウモロコシの皮で作ってくれたのを思い出す。
 去年、「藁ぞうりの作り方を教えてよ」といとも簡単に篠原さんに頼んだ。思えば藁の入手が困難なことだったのに。でも今回実現感謝・感激である。
 先人の知恵が各所に織り込まれている技、先生の指導なくしては自力製作は出来ないとは思うものの、何時かは孫に作ってやりたい一品である。履いてくれるかどうか分からないけれど・・・。 
藁ぞうりに思う                      はたけ番号 64 横山 義弘

編集後記:異常気象の中での農業体験塾の一年でした。
例年になく野菜の出来が悪かったので、来年以降の参考にすべく、宮本塾長にヒアリングをして記事にまとめました。
はたけ新聞は農業体験塾のオープンな交流紙ですから、お気軽に投稿やご意見・ご提案をお寄せ下さい。
また、はたけ新聞の編集へのご参加を編集委員一同お待ちしております。
発行責任者:宮本 茂昭
編集委員:北川 公・西川 一枝・野本 秀夫・橋本やよい・森脇 由利子(アイウエオ順)
印刷:和田 政雄
指導している篠原さん(左)藁ぞうりを作る横山さん(右)
出来上がった藁ぞうり